紅色のきもち

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あれから一週間が経ちましたがあの日以来、彼女のことをずっと考えている俺がいました。 俺の手を掴んで呼び止めて、何を言おうとしていたのでしょうか? あの今にも泣きだしそうな顔で俺に何を伝えたかったのでしょうか? どれだけ考えたって答えがでるはずないのはわかってますが、彼女に思いを馳せずにはいられない訳で。 こうして超絶苦手教科である数学の授業中に窓の外を眺めながら、彼女のことを考えるのも仕方ないですよね。あぁ、仕方がない。 「おい、徳永。この問題解いてみろ」 数学のうすらハゲ中年男性教諭が不意に俺の名前を呼びました。 このハゲなんかすごくいやらしい性格してるから嫌いなんですよね。 「解きたい、けど解けないんです先生!! だっておバカなんだもん」 俺は窓の外を眺めながらそつなくそう答えました。 放課後呼び出しをくらいました。 ハゲと担任からこってりとしぼられて、解放されたのはもう6時を回っていた頃で。 「くそ……あのハゲ。お前の頭の反射眩しくて問題が見えなかったんですよーだ」 一人悪態を尽きながら、教室に鞄を取りに向かいます。 窓からさす西日によって夕焼けに染められている教室は勿論、誰もいなくてなんだかいつもとかなり違う印象を受けます。 俺はさっさと鞄を手にして、教室を後にしました。 なんだか少しづつ寒くなってきたかもーなんて思いながら、一人で歩く帰り道です。 その途中でそう言えば、家のトイレットペーパーをきらしていたことを思い出し、俺はスーパーエリア11へ向かうことにしました。
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