紅色のきもち

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………。 「どうしたの?」 彼女は不思議そうな顔で俺の顔を見上げて来ました。 「いや、なんか可愛らしいなって」 俺はそう言って、上杉柳の頭をポンポンと軽く叩きました。本当にそう思ったのでね、なんかこう意外に小動物的な可愛さがありますな、上杉柳って。 「……むぅ」 上杉柳は少し恥ずかしそうな、それでいて悔しそうな表情をして、口を軽く歪めました。 ちょっと前だったら、腕をひきちぎられて、首を720度回転させられている所でしたな。 「今日はおつかいかなんかっすか?」 俺は上杉柳の右手に握られたメモ帳を見つめて、そんなことを尋ねました。 すると彼女は小さくコクリと頷きました。 「お母さんに頼まれた」 「そうっすか、偉いっすね。そんじゃ、俺はここらで 」 そう言って俺は軽く手を振ってから、お目当てのトイレットペーパーをゲットするために踵を返しました。 するとすぐさま制服の裾を軽く捕まれました。 振り向くと少し怒ったような顔をした上杉柳。 「……暗い夜道は危ない」 「いや……まだ夕方で明るいですし……」 「女の子、一人で歩いて帰るのは危ない」 いや、あんただったら紛争地帯を一切の武器も携帯しない状態で歩いていても、全く危険じゃないでしょう……。 すると急に上杉柳の顔が暗くなりました。 「今日は……送ってくれないの?」 またこの展開ですか……。 しかし、こんな可愛い依頼を反故に出来る程俺は薄情ではありませんでした。
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