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お礼? なら後ろ向いて四つん這いになれよ、とか言っちゃっていいんですかね? いや、ダメでしょう。
俺の顔をじっと見つめる彼女の顔は夕焼けによって、茜色に染まっています。
けど頬が妙に紅いのはそれが原因ではないと思います……多分。
それに心拍数の感じからして俺の頬も多分同じ感じになってると思われます。
「デートとか、いかがでしょうか?」
苦し紛れに出た言葉は、こんな感じで。
「へ?」
終始無表情だった上杉柳の顔が、少し驚いたような表現を伺わせました。すぐ元に戻りましたが。
「いやぁー、上杉さんともっと仲良くなりたいなぁーなんて思いまして!……ダメ、でしょうか?」
照れ隠しのためにふざけた調子で言葉を紡ぐと、上杉柳は視線を下にずらしました。
そして囁くように、
「……ちょっと考えさせて欲しい」
と言った後、背中を見せて家の中に小走りで入って行ってしまいました。
ありゃ、脈ありかな? と思ったんですが……。
ちょっと先走りすぎちゃったかなと恥ずかしく思いながら、俺は帰り道につきました。
曲がり道、上杉柳の家が見えなくなる前、何の気無しに振り返った時、
家の門柱の端から彼女が体を半分だけ出してこっちを見ながら小さく手を振っているのが見えました。
やっぱり脈ありかも?。
デートのために小洒落た服でも買いに行こうかな、手にさげたトイレットペーパーをぶんまわしながらそんなことを考えていました。
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