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潮風が涼しく吹き抜ける真夏の日、佐山少尉は二式水戦の機銃弾の確認をしていた。
ブゥワァァァン
上空を別の水戦が飛んでいる。
エンジン音だけが渓谷と基地に響いている。
風が吹いた………。
―――静か過ぎる。
佐山少尉は何か感じとった。
三週間前は敵の偵察機がちらほら飛んできたものの最近になりぱったりと来なくなったからだ。
佐山少尉は西の山を眺めてため息をついた。
「考え過ぎかな」
佐山少尉はそうつぶやいた。
その瞬間だ。
ウーーーー
ウーーーー
サイレンが響いた。
兵士たちが走り回り出す。
「東方に敵機接近!!七機だ!!」
「各機、暖機急げー!!」
コンタクト!
バルンッババババババ
多少の排気炎を吐き出し二式水戦の栄一一型発動機が覚醒した。
「発進できるものから発進しろ!!」
「佐山、先行します!!」
佐山少尉は、いの一番に発進して敵機の迎撃に入った。
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