合い鍵

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「あれ?きょう中丸は?」 あたかも俺と中丸がセットみたいに言ったかめの何の気無ない言葉に、内心喜んでいたことなんかまさか口には出来ない。 「生徒会だって。何が楽しいんだかねー。今日だってまーたパシリで居残りだよ?来週のスポーツ大会のなんか作んなきゃいけないとかいって。」 「へー、中丸大変そうだよね。てゆーか、なんで生徒会入ったんだろ?」 「さあ?暇なんじゃない?」 かめと赤西ほどではないけど、俺と中丸だってけっこうな時間はつるんでたのに。 あいつが生徒会なんか入ったもんだから、中学のときに比べたら一緒にいる時間は激減した。 …ボディーガードするとかゆったくせに。 「中丸も大変だな」 ぽつり、とこぼした赤西の言葉に 知らないって返したら苦笑いされた。 「生徒会だけじゃなくてな」って続けた赤西に、今度は意味がわからなくて首を傾げる。 そしたら赤西は、やっぱりなって、困ったみたいな顔で笑った。 なんだよ。ホントに意味わかんないんだけど。 なにが大変で、なににやっぱりなワケ? 赤西とのやり取りを黙ったまま見てたかめが、何かを納得したみたいな顔をして。 それから真っすぐ俺を見据えて言い放つ。 「たっちゃん、素直にならなきゃチャンスが逃げちゃうよ?」 かめはまるで、そういうことだよねって確認するみたいに赤西に視線を投げる。 かめダメだよ、その上目遣いはちょっと反則。 あー、ほら。 …赤西の顔緩んじゃってんじゃん。 「なんかよくわかんないけど、俺のことよりお前ら、そんなラブラブしてたらデキてる疑惑ながれるよ(笑)?」 冷やかしプラス冗談は、時としてものすごい威力の爆弾を投下させるらしいことを、つぎの瞬間に俺は知る。 「…えっ、うん。てゆーか、付き合ってる。し。」 .
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