雫星。

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「かめは、…かめだろ」 だから、と。反論の一呼吸もつかない内に告げられる、その答。 「すげえ会いたくなるひと。かめは。」 ――そんな感じ、なんて。 そんな風に笑うから。 大袈裟なくらいの孤独も、独りよがりの考えも。 不幸ぶった自分にとてつもなく後悔したくなるんだ。 埃っぽい感情の幾つを、一体お前は何度その手で取り払ってくれただろうか。 いつかも忘れた遠い過去からきょう現在まで、一体、何度。 「 … あか にし、」 「うん?」 自分という人間が、あるいは、相手という人間が。 どんな人間かだなんて、本当のところはきっと解らないままだと。 ――そう、思う。 だけど。だから。 「ありがとう、…じん」 「どういたしまし、て?」 この場所に必要とされる人間に、存在に。 きっと在り続けていくと、 俺は俺でいると誓うから。 ――すっげえ会いたくなるひと。 俺もそうだから、 お前に必要とされる存在。きっと、唯一無二。 躓いても走っても、明日が来るなら。俺は。 此処で、生きる。 End.
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