Private lover.

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「あー、だいぶ外寒くなってきたー。中丸のつまんねえギャグと張れるかも」 「いや、俺いまギャグとか言ってもねえし!」 「うっわ、中丸スベった。あんまスベるとモテなくなるよ」 「いや意味わかんねえし!」 「さっ、俺は冷えた体をあっためてこよーっと」 なぜだろう。 顔は笑ってるけど、目が怖い。 プラス、声もいつもより低い。 上田の機嫌がすこぶる悪い。(ような気がする) 「ねえねえ、かぁめー。」 「んんー?なに、てか上田!前髪はねてるけど!」 「なんか寝癖直んなかった!」 「もー。ちょっとさあ、アイドルなんだら自覚しようよー」 目の前で繰り広げられる、上田とかめの会話。 楽屋のデカイ鏡越しに、雑誌を読んでるフリをしてその光景を盗み見る。 ふたりのビジュアルを含め、俺と交わすものとは放たれる輝きというか、オーラが違うのは知っている。 内容もさほどナイようなものなのに。(やべ、田口並に寒い) まあ、自分の普通オーラは心得ているけれど。 それ以前に、俺と会話するテンションとかめとするソレが明らかに違いすぎる。 何と言うか、上田からひしひしと伝わる『八つ当たられてる感』みたいなのが。 ちょっと、つらい。 …いや、かなり。 俺、上田の機嫌損ねることなんかしたっけ…? ええと…。 とりあえず、おとついのポポロの撮影んときまでは普通。だった、よな。 うん、で。きのうは。 ラジオだ! いやでも、それだって特にいつもと変わりはなかったし…。 その全部、普通にお疲れってわかれて帰って。 帰りついたあとの電話もメールも欠かしてないし、怒られるような心辺りがない。 やっぱり今朝、突発的に機嫌が悪くなったんだ。 家出るときに足ぶつけたとか、信号が長くてイラついたとか。 そんなんだろう。 んで、いつもみたいに俺でストレス解消してるんだ。(それもどうよって話しだが) うん。そっか、そっか。 んじゃ、はやく上田の機嫌が直りますようにってお祈りしとこう。 神様、頼みます。 .
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