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「やっぱさー、こっちの薄い色のデニムのがいいかなあ?
春だし?あ。赤西持ってるの薄いほうだっけ」
亀梨は、中3のときにクラスが同じになって、それ以来の友達。
「ん、そー。やっぱ春だし、そっちの色だろ。お前もそっち買っとけって」
「そっちって、こっち?薄い色のほう?」
「そー。ぜぇったい使えるって、そっちのほうが」
偶然にも進路希望が同じ高校だった俺たち。
亀梨とはもともとよく話すほうだったけど、
ふたりで受験勉強しだした秋くらいから、それまでよりもっと一緒にいることが多くなった。
「えー、ぜぇったい(笑)?」
「そー、ぜぇったい(笑)!」
あれから、2年。
俺たちは高2になった。
去年、亀梨とクラスは分かれてたけど、休憩時間も昼飯も、俺が亀梨んとこまで迎えに行ってて。
気付けば授業中以外はほとんど亀梨といた。
(しかも授業中はほぼ寝てるから起きてるときは亀梨といる、みたいな)
「あーっ!買っちゃったー!!ヤッバイなあ、やっぱ俺バイト始めようかなあ。超金欠…」
「え、なに亀梨バイト始めんの?」
「んー、だってデニム買ったらさあ、次はトップス欲しくなんじゃん。つーかもうすでに今欲しいし。」
「あー、ね。うん、それあるな。俺いま白が欲しいし。なんかシンプルなの」
「あーー!ヤバイ!!俺もいまシンプルなの欲しい!!もー…言うなよー赤西ぃ…」
胸元にさっき買ったデニムの入った紙袋を抱きしめながら、亀梨はうなだれる。
「えー、いいじゃん、オソロでまた買えば。あと俺、次はカラーパンツも欲しい。深緑とか、青とかのやつ」
「お前いま、ぜったいわざとだろ…」
「……わかった(笑)?」
何て言うか。
「バレバレだし(笑)」
亀梨は、かわいい。
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