108人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらく進むと装甲車は路地に止まった。竜崎が残弾を確認していると周りから冷たい視線が集まっているのに気付いた。
「紹介がまだだったな」
そういってメットとマスクを外す。が、竜崎が口を開く前に鞠川が声を出した。
「あらぁ竜崎さん!」
どうやらまだ気付いていなかったようだ。
「久しぶり」
「先生知り合い?」
ショットガンを持っていた学生がきく。
「ええ。先生の友達の友達。確か今は自衛隊で隊長をしているんでしたよね?」
答えるつもりでいたことを鞠川がすべて言ってしまった。
「ああ。では改めて竜崎亮二佐だ」
「隊長でしたよね?他には隊員は?」
メガネをかけた少年が質問した。竜崎は肩をすくめ声をだした。
「俺以外ここにきた奴らは全滅だ」
そこにいた全員の表情が曇る。
「だが安心しろ。洋上空港に避難させてやる。そこには仲間も装備も食料もある」
だが少女の一人が声をだした。
「まだやることが残ってるの!」
「何を?」
少女が答える前にショットガンの少年が答えた。
「両親の安否を確かめるだめです。」
竜崎はしばらく考えると声をだす。
「わかった。丁度町のガイドが欲しかったところだ」
そして全員の力が抜けた。
最初のコメントを投稿しよう!