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織畑明日摩、十七歳。
上乃高校で二年生というポジションの俺にとって、フィーナリアホテルは光年レベルの距離がある。
関連性は皆無で、『たまに電車の中から見る』ぐらいのもので、あのホテルと俺は線で結ばれることなんて一生ないはずだった。
それでも、今の俺は何者(特にガードマン)にも恐れることなく、威風堂々、フィーナリアホテルの内部へと客として入っている。
それができるようになった理由は、フィーナリアホテル開店から一ヵ月後、俺が手にした一通の手紙だった。
フィーナリアホテルの中から俺宛に送られた、何の変哲もない手紙。
差出人は『RE:find』という謎記号。
最初は何がなんだか分からなかった俺だったが、なんとなしに興味を持った俺は手紙に書いてある通り、フィーナリアホテルへ赴いた。
そして入り口で、自分の名前を言ったら驚き、ヤクザちっくガードマンは「伺っております、織畑様、どうぞ中にお入りください」とまあ、ニュースアナウンサーぶりの綺麗な日本語で俺を迎えてくれた。
当時の俺は驚く以外の感情は消えうせて、まるでお伽の国に旅立った気分で、手紙に書いてある通りに行動した。
『六十階の部屋まで来てください』という、指示に従って。
そして、六十階に到着して、再び驚き。
六十階は豪勢にも、一つの大きなスイートルームであった。
最後に、スイートルームには俺と同じように、この六十階の部屋に『RE:find』という者に集められた五人の男女と鉢合わせ。
お互い顔も名前も知らず、しかも年齢もまばらだった。
何かしらの不安を感じていたところ、ベッドに置かれていたノートパソコンが突如起動し、文字が勝手に入力され始めた。
RE:find>皆さん初めまして。いきなりですが、私とお話しませんか?
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