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話が脱線してしまって申し訳ない。
櫻井は完璧に訳した俺を尊敬の眼差しで見る事はなく、それどころか彼女は俺が訳す為に教科書を持っていた為見る事が出来なかった。
にも係わらず俺が訳すのを聞いて、逆にボソボソと英文に直していた。
見事なまでに忠実に訳し教科書と一言一句違わない。
耳で聞き、頭で訳す。
なかなか出来る事じゃない。
で…何故か思ってしまった。
彼女も俺と同じ不思議な記憶力を持っているんじゃないかと…。
今までそんな事を他人に感じた事はない。
でも、何故か彼女はその能力を持っている…。
そう思えてならなかった。
俺は自分でもビックリするぐらいの行動力で、ノートの端に疑問を書いた。
『君って不思議な記憶力持ってない?例えば、1度聞いた事や見た事は忘れないとか…。』
彼女にそれを見せると、彼女の目が大きく見開かれ何やらノートの端に書き始めた。
『御堂君も?』
そこには確かに『も』と書かれていた。
今度は逆に俺が目を見開く。
やっぱり…。
素直に納得してしまった。
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