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俺と同じ不思議な記憶力を持つ少女。
その彼女の瞳を覗いた、その瞬間…。
俺の記憶の中に、その瞳と同じ瞳を持つ赤ちゃんの姿が見えた。
俺の赤ちゃんの時と同じ顔。
そのアングルは俺と同じ目線で、俺の隣に寝ているように見える。
その近くには女の人と男の人のシルエット…。
笑い合う声…。
男性らしきシルエットに抱かれる感覚…。
俺と同じ顔の赤ちゃんが女性のシルエットに抱かれる―――…
頭がガンガンして朦朧とする意識の中、同じように頭をフラフラさせて椅子から滑り落ちていく櫻井の姿を視界の端に見ながら、俺も同じように椅子から滑り落ち意識を失った。
不思議かつ便利な記憶力の中で、稀に生まれた時の記憶が断片的に見える時がある。
その記憶がふとした瞬間に呼び起こされる。
その記憶だけはいつも曖昧で、毎回同じように俺は意識を飛ばす。
軽い頭痛の中目覚めると、真っ白な天井が見えた。
保健室…。
隣のベッドを見ると、櫻井も今、目を覚ました様だ。
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