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「私の記憶の中に…私と同じ顔の赤ちゃん…。それは私?…違う。私は…その赤ちゃんと同じように寝転んで隣にいる?」
櫻井の言葉に驚きと同時に沸き上がる疑問。
俺と同じ記憶?何故!?
「笑い合う男と女…。俺と同じ顔の赤ちゃんが女のシルエットに抱かれる……。」
俺の言葉に、櫻井もまた驚き複雑な表情を見せる。
「私と同じ記憶…?何この記憶…。」
櫻井は小さく呟くと俯き、頭を抱えた。
俺たちは暫くベッドの上で頭を抱え込み、出口の無い記憶の迷路に迷い込んでいた。
自問自答をしても答えは見つからない。
俺の便利な記憶は生後6ヶ月までの記憶は曖昧で殆ど覚えていない。
自分自身で呼び起こす事は出来ない。
その代わり、6ヶ月以降の記憶は簡単に引き出す事が出来る。
…櫻井の記憶も同じなのか?
「櫻井の記憶って…生まれた時の記憶から鮮明に思い出せるのか?」
俺の言葉に反応し、顔を上げる櫻井。
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