起 …友達の始まり

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僕のクラスに谷屋という男子がいる。そいつは人一倍物静かで、いつでもどこでも一人で部屋の隅のほうにいる。 僕がそいつのことを気にし始めたのは、高校二年生が始まってだいたい二ヶ月ぐらいの頃だった。 谷屋は僕のクラスでみんなに気味悪がらていた。というのも谷屋は誰とも話そうとしなかったし、いつもなぜか静かに笑っているのだ。体育の授業に出席することはなく、僕は体が弱いのだろうかと思っていた。 しかし、僕は混乱しはじめた。それはある日の食堂でのことだ。 谷屋はいつも食堂のはしっこにいる。それは変わることもなく、誰にもその場所ゆずらなかった。僕はあいつからその場所を奪ってやろうと考えた。僕は運動神経には誰にも負けない自信があり、マラソン大会も体育祭も一等賞をのがしたことがなかった。 チャイムがなり、昼休みの始まりとともに、僕は食堂へ全速力で向かった。 しかし、僕は谷屋に勝てなかった。僕が教室をでたとき、谷屋はまだ自分の席だったし、谷屋がもし走るのが速かったとしても、何十メートルの差を無くすことは不可能だ。 それなのに、僕が食堂に着いた頃には、谷屋はいつもの場所に座っていて、いつものB定食を食べていた。 その日だけじゃない。僕はこの日から一週間、勝手に谷屋に挑んでいたが、一度も谷屋に勝つことは出来なかった。 なんなんだこいつは。 谷屋は相変わらず静かに笑うだけだった。
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