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「行くぞクド!」
「はい!」
隆二の呼びかけに応え、同時に茂みから飛び出すクリアロッド。
狙うは広場で佇む一つの影。
左右に別れてそれぞれ拳を握り締める。
「せい!」
隆二が僅かに先行して右拳を放つ。
が、影はそれをあっさり受け流してしまう。
しかしそれは隆二にとって予測済み。
受け流されて背中側に回り込まれてしまうが、今度は腕を勢いよく引いて肘を腹部目掛けて突き出した。
「……………」
影はそれを両手のひらで受け止めるが、止められた側の隆二は何故か口元に釣り上げて笑っていた。
残った左手を右脇の下に通して影の左手を掴む。
「行けぇ!」
「はい!」
そしていつの間にかクリアロッドが影の背後を取り、拳を引きつつ突進していた。
影は左手を掴まれているため、右側への回避が出来ない。。
だから左足を軸に取っていた隆二の背後を捨て、前側に回ろうとした。
背中を狙われた影だが、逆に隆二を盾にしようとしたのだ。
が、そこで右半身が動かない事に気がついた。
見てみれば、隆二が肘鉄を解き、影の右腕を組むかのように絡め取っているではないか。
脇でしっかり固定され、全くと言っていいほど自由が聞かなかった。
「決めろよ!クド!」
背中を向けて目視出来ないが、ここで一撃を入れてくれる事を信じて隆二は叫んだ。
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