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「よーし!忘れ物はねぇな!?」
「おー!!」
車に乗り込んだ智明の掛け声とも言えるその言葉に冬弥が拳を突き上げて応える。
これから隆二達は旅行先、日本へ向かう交通手段の飛行機に乗るために航空へ向かう所だった。
智明はエンジンを掛け、車を発進させた。
道中、冬弥は興奮気味にクリアロッドに日本の素晴らしさを伝え、クリアロッドはそれに受け答えしていた。
今回日本に行くのは隆二、クリアロッド、そして冬弥。
日本に行くと話したら自分も行きたいと言い出したので、特に拒否する理由も見当たらなかった隆二は一緒に行く事にしたのだ。
しかし智明と歩はこちらに残る。
智明は仕事が残っているからだ。
が、それだけではない。
「父さん、爺ちゃんに何か伝える事ない?」
「ない」
即答され、隆二は密かに溜め息をつく。
予想はしていたのだが、やはり言われると頭が痛くなってくる。
つまりは智明とその父、つまりは隆二の祖父とは仲があまりよろしくないのだ。
隆二は冬弥と何度か祖父の家に遊びに行ったのだが、送り迎えはしても決して家の敷居を跨がない智明。
幼かった隆二は智明にも祖父にもその事について幾度となく尋ねてみたのだが、どの時もどちらにも一蹴されてしまっていた。
今回こそはと僅かな望みをかけて聞いてみたのだが相も変わらず頑固だった。
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