二度目の引っ越し

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「え、引っ越し……!?」 原因はナイトメアの一言。 「そうだ、アリス……そろそろ引っ越しなんだ。 君は一度経験しているから大丈夫だとは思うが…」 「え、引っ越し……!?」 冒頭に戻る。 こんな言葉のお陰で柄にもなく驚いてしまった。 「引っ越しって…またハートの国に戻るの?」 「いや、違う…… 次の引っ越し先はスペードの国だよ」 「………は?」 ハートの国からクローバーの国、スペードの国…… この世界はまるでトランプのようだと思う。 そもそもこの世界は分からなすぎる。 そういえば、ハートの国に残ったユリウスとゴーランドは…また置いてきぼりなのだろうか。 「安心するといい。この引っ越しではその二人も合流する」 「ちょっと、勝手に読まないでよ」 「仕方ないだろ?遮断しないと入ってくるんだ」 「遮断すれば良いじゃないの…」 (グレイがいないからって調子に乗ってるんだわ…) ナイトメアが口を開いた瞬間、地面の歪むようなぐにゃりとした感覚が私を襲う。 「ちょ、ナイトメア……!? これ、もしかして引っ越しじゃ…」 「…ックール、は、早くはないか!? 私は時間帯が2つ変わったらと伝えたぞ! 守り人の許可がとれたのか…?」 焦ったようなナイトメアの声が聞こえ、しばらくして地面の揺れや歪みが止まる。 …クールとは誰なのだろう?守り人もまた役持ちなのだろうか? (……すぐに会えるのかしら) 大きな不安と僅かな好奇を胸に、私はスペードの地を踏みしめた。 .
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