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「さぁ。とりあえず、女子ではあるようだな」
青年は気のない返事をしながら、少女の横たわる敷き畳の脇に腰を下ろし、あぐらをかいた。
「見れば分かる。異国の者だろうか。面差しには、まだ幼さが残っておるが、ずいぶんと丈が高い」
博雅も同じように腰を下ろしながら、少女をまじまじと見つめている青年を見遣る。
抜けるように色の白い瓜ざね顔に、切れ長で涼しげな目元。
すんなりと伸びた手足に、ぴんと張った背筋。
整いすぎている……そう思ってしまうほどに、綺麗な男。
声もまた良く通る、澄んだ音をしていた。
「肌は白く、髪は黒い。目鼻立ちもこの国の者のようだが……この形と荷が気に喰わぬ」
「こんな物、見たことも聞いたこともない……おいっ。何を!?」
博雅はぎょっとする。
青年がごそごそと、少女の荷を開け始めたのだ。
「あとで、わびを言えばすむだろう」
「そういうことではないっ」
青年はかまわず中を調べ、一冊の書を取り出し、ぱらりと目を通し、ぴたりと手を止めた。
珍しいことに、見る見る目が見開かれていく。
「何を見つけたのだ?」
「博雅。おぬし、大変な者を拾ってしまったやもしれぬぞ」
「何?」
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