プロローグ ~ 椎名 唯 ~

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「唯っ!」 後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。 「おっはよー!」 振り返ると、そこには私よりも 少し身長の高い女の子がいた。 「怜ちゃん!」 私は彼女の名前を呼ぶ。 息を整えた彼女は何気もなく 嬉しそうに私の頭を撫でだす。 その手が私には少しくすぐったい。 「ごめん、唯っ! ちょっと遅れちゃった」 走ってきた彼女の短い髪は、とても綺麗で、 そんな彼女が髪を伸ばさないことを 私は少しもったいないと思う。 「うんうん、私も今きたところだよ」 「優しいなぁ~、ってか唯その言い方あたしの彼女かっ」 彼女の頭を撫でる力が強まる。 「痛い、痛いって。ていうかおっさんみたい」 「あ、ごめんごめんっ。でもおっさん言うな」 そう言いながら舌を出す彼女。 そんな彼女の仕草はとてもかわいらしい。 若干おっさんっぽいけど。 彼女の名前は冴木 怜。私は怜ちゃんと呼んでいる。 私が受験に落ちたとき、怜ちゃんは志望校に受かっていた。 けれども彼女はそれにも関わらず、 その話を蹴って私と同じ高校に進学してきた。 私の大好きな親友。
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