~記憶封印~

6/17

113人が本棚に入れています
本棚に追加
/337ページ
マリアを抱き締め 静寂の森を見上げながら 悪魔の化身 小鳥の星暗 君の事を思い返していた 腕の中では、いつの間にか一定のリズムで寝息をたてるマリアがいる たまらなく愛しくて ピンクの唇にくちづけを落とした 寝息は、俺の頬に湿った温もりを伝え 起こしてはいけないと顔を離したが… その瞬間 マリアの唇に苦くて塩っぱい水が落ちた それは俺の頬を次々と伝い落ちて 長いまつ毛や艶めかしい赤毛までも濡らしていた 「随分と辛い想いをさせたな…すまなかった…不甲斐ない俺を笑ってくれ…」 マリアは夢の中で…笑っていた 狂った獣達ではなく 優しい幻想の笑顔に囲まれて…
/337ページ

最初のコメントを投稿しよう!

113人が本棚に入れています
本棚に追加