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マリアを抱き締め
静寂の森を見上げながら
悪魔の化身
小鳥の星暗
君の事を思い返していた
腕の中では、いつの間にか一定のリズムで寝息をたてるマリアがいる
たまらなく愛しくて
ピンクの唇にくちづけを落とした
寝息は、俺の頬に湿った温もりを伝え
起こしてはいけないと顔を離したが…
その瞬間
マリアの唇に苦くて塩っぱい水が落ちた
それは俺の頬を次々と伝い落ちて
長いまつ毛や艶めかしい赤毛までも濡らしていた
「随分と辛い想いをさせたな…すまなかった…不甲斐ない俺を笑ってくれ…」
マリアは夢の中で…笑っていた
狂った獣達ではなく
優しい幻想の笑顔に囲まれて…
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