プロローグ

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チューチューに目がない私がしばらく目が離せずにいると、彼氏がその様子に気付いて私に言う。 「チューチュー食べたいの?」 「あっ、いや、都会のほうにもチューチューなんかあるんだって…思っただけ…」 「そう言いながら思いきり凝視してんじゃん。いーよ、買って来てあげる。すぐそこの駄菓子屋に売ってたと思うから」 そう言うと彼はベンチから腰をあげた。 都会なのに駄菓子屋なんかあるんだ。 そう思いながら私も立ち上がろうとしたが、彼に止められた。 「涼んでていいよ。暑いの苦手でしょ」 「あ…ありがとう」 彼は本当に優しい。 彼氏の鏡と言うべき男だ。 再びベンチに腰かけた私を見て安心したように笑みを浮かべ、彼は駄菓子屋へ向かおうとした。 私は彼を呼び止める。
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