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寒い中、車の暖房をきかせて俺は暗い道を走っていた。
俺以外には走る車もない。大宮が事故ったのは夜だった。
大宮が夜に、何故こんなに人気のないような、山から下る道路を走っていたのかは知らない。
そもそも奴が車を運転すること自体滅多にないことだったのに。
山の頂上のほうに小さな神社があったから、初詣にでも行ったのかもしれなかった。
ライトをつけてうねうねと曲がる道をひたすら走った。
カーブの多い道は俺は好きじゃない。延々とうねるカーブを見ていると気分が悪くなってくるからだ。
いつまで続くのだろう、とうんざりしていた俺の眼前が、さっと開けた。
海。
うっとおしい木々はなくなって、そこから広い海がはっきりと見えた。
夜なのに。満月とはいえ、こんなに暗いのに。
波の音が聞こえてきそうな海に、その上に並ぶ柄杓のような形をした星。あれは、北斗七星じゃないのか?
海と北斗七星に見惚れていた俺の前に、急なカーブが出現して、俺は慌ててハンドルを切り、ブレーキをかける。
タイヤが地面を擦る音がして、俺の車は止まった。
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