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これは夢だ。
こんな悪い夢早く醒めてしまえばいい、そう思うのに。
(どうしてかな…)
いくら頬を引っ張っても駆け抜ける痛みがこれは現実だと言ってる。
(どうして悪い夢なのに醒めてくれないのかな…)
目の前に広がる光景は、顔を背けたくなるようなもの。
一面に飛び散って床を埋め尽くす赤い赤い花びら。
それは大好きな人の体から出た血液。
その血溜まりの中央に横たわった大好きな人。
「か…め、ちゃ…」
引き連れた声で亀ちゃんの名前を呼びながら、ゆっくりとした足取りで血溜まりの中を歩いていく僕。
ふと、僕の手にある重たい感覚に気付いて視線を落とすと愛用している拳銃が握られていた。
(あぁ…そうか…)
思い出した。
この惨劇の場を作り出したのは僕だ。
(僕が、亀ちゃんを殺したんだ…)
ようやく亀ちゃんがいる所まで辿り着いて、服が血で汚れるのも構わず僕はその場にヘタリこんだ。
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