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「今本さん!?」
体を強張らせ、震える冬佳に剛知は必死に呼び掛ける。
「やめっ…ごめんなさい!ごめんなさい!許して…ごめんなさい…」
次第に声はか細くなり、啜り泣く声に変わった。
「ごめんなさい…ごめんなさい…良い子になるから…」
「今本さん!大丈夫!?」
思わず大声を出してしまう。
「っ!?」
驚いた様な、怯えた様な…
冬佳は顔を上げた。
「今本さん?」
いつもの大きな瞳。
しかし、とめどなく涙を流しながら縋る様な瞳で剛知を見つめる。
「どうしたの?」
大声を出した事を怖がらせてしまったと思い、剛知は優しく微笑んだ。
「助け…て…」
「え?」
「お願いっ…助けて…」
冬佳はいきなり剛知の胸に抱き付いた。
「ちょっ!?」
剛知はかなり驚き、引き離そうと肩を掴んだが…
雨に濡れた子猫の様に細い肩を震わせながら泣きじゃくる冬佳を引き離す事が出来なかった。
「今本さん…?」
「もぅ打たないで…良い子にしてるから…」
何の事だかさっぱり判らなかったが…
「1人は嫌なの…置いて行かないで…1人は嫌…」
そう言いながら必死に縋る冬佳を剛知はただ抱きしめる事した出来ない―
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