病室の少女

8/10
前へ
/327ページ
次へ
「コンチニハ。」 扉を開けると、そこには― 一人の髪の長い少女がベットの上で上半身を起こし、窓の外を眺めていた… 調度、窓は入口から正面。少女の顔は見えない。 「今本 冬佳さんですよね?」 部屋に入り、少女に話し掛けるが反応は無かった。 「僕は元田と申します。今日から今本さんを担当させて頂きますので、宜しくお願いしますね。」 簡単な自己紹介をしても少女は何も反応しない。 振り向いてさえくれなかった。 「今日はイイ天気ですよねぇ。」 沈黙と言う名の静寂が部屋に響く。 剛知は困り果てる。 何も反応してくれない少女。 まだ顔さえ見ていない。 「外に行きたいの?」 その言葉に少女は反応したのか、初めてこちらを向いてくれた―
/327ページ

最初のコメントを投稿しよう!

456人が本棚に入れています
本棚に追加