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【幕間】
小鳥は死んでしまった。
何度目かの雪の日の、昼下がりに。
カイトの肩をまるで居場所のように離れなかったちいさな生き物の、それは病気だったのか、それとも寿命だったのか、・・・わからない。
ただ確かなのは冷たくこわばったむくろがもう、動くことはない、それだけ。
固く閉じた瞳はもはや何も見ない、つぶらで可愛らしい目が、自分を見上げて、頬をつつくことも。
「・・・・土に返してやらないとな。」
「返す?」
「うん、そうだ。いきものは、死んだら土へ埋めてやるんだ、それは当たり前に、そうなんだ。」
沈んだ面持ちで、レティシアはカイトに言った。
カイトには実感が沸かない。
昨日まで、いや、今朝まで。
ちゃんと生きてたじゃないか。
なのに、どうして?
こうして、生きているものは、自分の側から去っていくのか。
つまり、死ぬのか。
「だから一緒に埋めてやろう?カイト、庭の、お前がそいつと一緒に居たあの、樫の木の下にさ。」
「・・・・はい、マスター・・・。」
「そうやって、いきものは、どこか遠くへ還っていくんだ・・・・。」
手の届かないところへ、と。
レティシアは付け加えて。
・・・いつか。
・・・・それは、マスターも、ですか?
思わずそう言いそうになり、カイトははっとする。
自分は何を考えたのだろう。
・・・・一体、何を?
嫌だ。
嫌だ、嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
・・・考えたくないんだ。
そんなこと、絶対に。
考えたく、ない・・・・・・・・。
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