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その屋敷は、街の外れの小高い丘の深い森に抱かれ、隠されるようにして建っていた。
こぢんまりとした、だけどもよく見ればすぐれた細工をそこここにほどこしたそれは、
それなりの金持ちの持ち物だという事が見てとれる。
古い建物特有の、薄明るい館内には毛足の短いけれども弾力のある絨毯が敷かれ、その下が固い石の床である事を忘れさせてくれる。
館の一番奥の部屋、そこがカイトの主が居る場所だと教えられ、カイトはうなずく。
床にところどころ陽だまりを落とす廊下の片側に並んだ窓が、ラボのあの一室を思い出させた。
自分の兄弟か、それとも姉妹か・・・自分の『仲間』が集められた部屋。
自分にとって、たったひとりのマスターの元へ往くのを待ちながら、密やかに息づく自分の仲間たち。
彼らは、主を見つける事が出来たのだろうか。
または・・・いまだかの人と
出逢う事無くあの場所でひとりで。
開かれた扉の音で、カイトは意識を今に戻す。まず目に入ったのは瀟洒な照明器具、
その下で。
自分の運命が待っていた。
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