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クスクスとまだ笑う莉央。
それはいつもの莉央そのもので。
俺の大好きな、
…………“いつも”の――?
…………違う、俺はそんなの求めてない。
俺は莉央にいつも通りにしてほしくない。
俺、莉央に抱きついたんだよ?
だから、俺を特別に感じて?
「あ、あのさ……莉央」
あまりにも普通すぎる光景に俺は思わず莉央に話しかけていた。
「ん?」
優しく返ってくる返答。
――――きっと、こっからはもう戻れないんだろうな……
俺はそんな事を考えながら、話を続けた。
「……莉央は彼氏とかいる?」
「へ?」
間抜けな声をあげる莉央。
その声すらも可愛いと思ってしまう俺は危ないか?
「か、か、かっ彼氏?」
見事にどもる莉央。
「フッ……どもりすぎだし。
――――それで、いるの?」
俺がそう急かすと、莉央はすごい勢いでブンブンと首を横にふった。
「そ、そんなわけない!
かっ…彼氏とかいないよ?」
――――その瞬間。
なんともいえない程の安堵感が俺を包みこんだ。
……だが、それは一瞬で儚くも崩れ去った。
「あ! でもねー、今度合コンに誘われているの。
だから、もしかしたらそこで彼氏とか出来るかもね?」
舌をペロッと出し、えへへと笑ってみせる莉央。
「合、コン……?」
俺は一気に崖から突き落とされたような絶望に呑み込まれた。
……そんなのちっとも笑えねーよ。
合コン? 彼氏出来るかも?
――――ざけんなっ!!
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