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「チビッ?!」
俺は気付いたら、莉央を抱き締めていた。
「黙れよ……」
でも、俺はもう俺自身ではとめられなくて。
莉央の後頭部を掴み、ゆっくりと引き寄せる。
「ちょっと、チビ! やめて!!」
涙目で俺に訴えかけてくる莉央。
……それは逆効果だって気付いてよ、莉央。
俺、狂っちゃうだろ?
そう思いながらも、俺は莉央との距離を縮めていく。
好きだ、莉央――――。
莉央も俺のこと好きになってよ。
お互いの吐息がかかってしまう距離までに近付いた。
後、後数センチ。
後数センチでキスする――――。
……なのに。
「扶仁!!」
莉央が突然、俺の名前を呼んだ。
「はっ、はい!」
それに反射反応してしまう俺。
そのせいで、キスをしそこなう。
莉央が俺から離れていく。
「……早く、帰ろう?」
困ったように笑いながら、莉央はそう言った。
その顔を見た瞬間、俺はズキンと心が痛んだ。
こんな顔をさせているのは紛れもなく俺で。
莉央、ごめん。
「…………うん」
俺は抗うことなんて出来ず、素直に頷いた。
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