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深呼吸をして、俺は真っ直ぐに莉央を見た。
莉央の瞳を捉える――――。
「莉央、今から言うこと聞き流したりするなよ……?」
震える声を出しながらも、俺は事を運ばせる。
「……もちろん、聞くよ?
何泣きそうな声出してんの!」
ニカッと歯を見せて笑う莉央は到底高二には見えなかった。
「な、泣きそうじゃねぇし!」
ゴシゴシと目を擦る。
でも、そんな事をしなくても涙は既になかった。
やっぱ、莉央には敵わねぇや。
俺はふと笑い、俺の想いをゆっくりと口にしはじめた。
「俺の友達で小さい頃からバカで間抜けで、その上泣き虫で俺よりガキに見える奴がいる」
「うわー、ひどい言われようね、その子……」
自分だということに気付いていない莉央は憐れみの色を目に宿した。
「――でも、俺は昔からそいつが大好きなんだ」
ふーん、と俺をまじまじと見つめてくる莉央。
その瞳はとても澄んでいて、吸い込まれそうになるくらいだった。
綺麗な綺麗な青色の瞳。
日本人離れしてる莉央の目。
鼓動が早くなっていくのが自分でも分かる。
それは莉央に見つめられているからなのか、今から言う言葉のせいなのか、はたまたどちらとものせいなのか、俺には分からなかった。
……けど、俺は一番伝えたい事を莉央に伝えるために、そんなことを一切考えずに静かに言葉を紡ぎ始めた。
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