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「手、震えてるし。
格好付けんなよ……」
そう言って、俺はそっと莉央の手を包みこんだ。
「――――っ!!
や、やだ……
私ってば何震えて……」
バッと俺の手から離れようとする莉央の手。
でも、俺は離したくなくて。
そのまま、莉央の手をグッと抑えた。
「やっ……何するの!?」
必死で俺から離れようと抵抗する莉央。
「莉央が悪いんだからな?」
「な、にが……?」
俺は手の中にある莉央の手を、俺の唇の元まで持ってきた。
――――――チュッ
「ひゃっ?!」
俺が莉央の手の甲にキスを落とすと、莉央は少し色っぽいようなくすぐったそうな声を出した。
「……お前まじ可愛いすぎ」
「だ、だだ誰がよ!」
顔を真っ赤にしながら、俺を睨む莉央。
だからそれは逆効果だっての……
「そんなこと言っちゃっていいわけ? 次は口にするよ?」
俺は自分の唇を舐め、それを拭いとった。
「……っ扶仁の馬鹿!!」
涙目で俺を睨むと、莉央は立ち上がり走り去っていった。
……ちょっと、やりすぎたかな?
俺は莉央の走り去る姿を見ながら頭を掻いた。
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