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「……はぁ」
自分の部屋に戻った私は、大きな溜め息を一つ吐いた。
目の前にあるベッドにダイブし、鞄を放り投げる。
「扶仁が私を好きって……」
ドクンドクン、と胸の動悸が早くなっていくのが自分でも分かる。
身体中の熱たちが私をおかしくさせる。
ふとベッドの脇にあった姿見鏡に目をやった。
ナチュラルブラックの髪。
肩より少し上までしかない、私の髪。
日本人とは違う、蒼色の瞳。
“いつもの私”だった。
頬が異常なほど、紅潮している以外は。
「私は……、私はどんな顔して扶仁に会えばいいの――――?」
視線を天井に戻し、その上から自分の腕を被せた。
考えないようにすればするほど、扶仁のことで頭がいっぱいなってしまう。
あのキスだって……
「扶仁……、私を好きだなんて嘘でしょう?
ねぇお願いだから、いつもみたい笑いながら冗談だと言いなさいよ――――。」
小さく、小さく呟いた。
これが夢でありますように、と強く願った。
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