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私が危機感を感じているその間にも、逃げ場のない私に近付いてくる扶仁。
気のせいかうっすら笑っている気がする。
ま、まさか……はめられた?
その扶仁の笑みのせいで、私の脳内にそんな確信のない考えまで生まれてしまう。
でも、この状況は偶然であって、流石の扶仁もここまでは考えれないはず……
――――本当に? 相手はあの扶仁よ?
でも、こいつはまだ中学生なわけなんだし……
「追い詰ーめたっ」
……私がいろいろと思考を張り巡らしているうちに、とうとう扶仁は私の元までたどり着いてしまった。
や、やば……!
「さーて。観念しな、お姫サマ」
そう言った扶仁はチビのくせに、やけに大人っぽく見えてしまい、私は不覚にもドキリとした。
私を見上げる扶仁。
「俺たち幼馴染みなんだからさ、これぐらいはいいだろ?」
少し熱を含んだ扶仁の声変わりした低い声に、私はドキリとした。
……でも。
「あっ……あんたは中学生のくせに何考えてんのよーっ!」
私はそう叫んで、そのドキリとしたものを揉み消した。
早く、早く逃げないと!
私のファーストキスが奪われてしまう!!
私は先程とは比べられないぐらい危機感を感じ、ドッと冷や汗をかいてしまった。
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