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「莉央とキスすること以外、何があんの? ……あ、言っとくけど、莉央が悪いんだからな?」
扶仁は口の端をあげてニヤリと笑うと、私の髪の毛に触れた。
「わ、私は何も悪くないわよ!」
「どこがだよ?
俺の前で無防備になってさ……
お前、可愛いすぎるって事くらい自覚しろよ」
そう言って、触れていた私の髪の毛にキスを落とす扶仁。
その仕草に私はビクリとした。
私はこんな扶仁知らない……
私が知っている扶仁は、もっと生意気で憎たらしくて、可愛いなんて私に言わない奴なのに……
どうしちゃったの?
私の知っている扶仁と違う扶仁に戸惑い、私はうまく声が出せなかった。
私は必死に声が出ることを願った。
「ねぇ、扶仁……
嘘なんでしょう……?」
その願いが通じたのか、私の声は出た。しかし、その声はとてもか細いものだった。
「……何が?」
まるでこの場を楽しんでいるような声色で、返してくる扶仁。
「その…………、私を……好きだってこと……」
私がそう言った瞬間。
――――ダン!!
「きゃ?!」
扶仁が壁に勢いよく手をついた。
それにビックリして、私は腰をぬかしてしまった。
い、いきなりなに……?
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