1009人が本棚に入れています
本棚に追加
――――
――
現在、午後六時三十分。
私の家では夜ご飯の時間だ。
「いっただきまーす!」
「もうジャンジャン食べてね!
今日はたくさん作っちゃったんだから!」
ママの言葉に私は頷くと、一心不乱にご飯を食べ始めた。
さっきの事で、今すごくイライラしてるから軽く三人前はいけそう!
……なんて私は思っていた。
――――が。
「……あら? 扶仁くん、その頬どうしちゃったの?」
ママの一言により、私はそうも思っていられなくなった。
私は静かにお箸の手を止めた。
「あ、これは……」
「ママ! ご飯おかわり!」
私は扶仁の声をかき消すくらいの大声でママにおかわりを告げた。
「え? おかわり……?
もうホントによく食べる子ね」
驚いていたけれど、ママは笑いながら私におかわりをよそってくれた。
「ありがと」
私はママにそう言うと、次はちゃっかりと横に座っている扶仁に告げた。
……もちろん、扶仁にしか聞こえないぐらい小さな声で。
「……余計な事喋ったら、後で覚えてなさいよ?」
「何? 莉央からのキス?」
「……いっぺん死ね」
扶仁のアホらしい回答に、私はおもいっきり足をふんづけてやった。
「い……っ!?」
もちろん扶仁は苦痛を感じ、小さく声をあげた。
「扶仁くん?」
「な……、んにもないっ、です」
ママの不思議そうな視線を受けながら、扶仁はそう答えた。
それを聞いた私は、
「よく出来ました」
と小さく言った。
最初のコメントを投稿しよう!