私とチビ

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チビ……扶仁こと、天野扶仁は私の幼馴染み。私より三つ年下の中学二年生。 つまり、私は高校二年生ということなんだけれど…… どうも、扶仁より歳上な気がしない。というよりも、見下されている気がする。 ちなみに、私の学校は中高一貫だから、私たちは同じ学校に通っている。 高校受験がなくて嬉しかったんだけど…… 「莉ー央っ!  俺の宿題やってよ」 「い・や! 絶対に嫌よ!」 このチビとまだ一緒にいなきゃなんないから、ちょっと複雑。 「えー! 莉央のケチ!」 ぷくっと頬を膨らませるチビ。 私から見たら、そんなもの可愛くなんてないのよ! 「ケチとかそういう問題じゃないでしょ! だいたい、あんた頭いいんだから自分でやりなさいよ!」 ……認めたくないけど、このチビは頭がいい。しかも、運動神経も抜群。 その上、顔もいい。 きっと性格を除けば、非の打ちどころのない奴なんだろう。 …………性格を除けば、ね。 「やだね、何でこの俺様が宿題なんてダサいことしなきゃなんないだよ。  それは莉央の役目、だろ?」 ニヤリと中学生とは思えぬ程の妖艶な笑みを浮かべる扶仁。 その笑みはいつも、不覚にも私の胸を高鳴らせる。……私は扶仁のこと、好きではないのに。  
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