偽りの普通

2/11
前へ
/480ページ
次へ
――――夕食後。 俺はいつも通り、桜家でくつろいでいた。 何気無く辺りを見回すと、莉央と莉央の母さん、俺の親父がいた。 ……莉央の妹がいねぇな。 なんて事を俺はぼんやり考えていた。 莉央の妹はまさに日本人という感じがする奴だ。 本当に血が繋がってるか怪しいくらい二人は似ていない。 年は俺と同じ。 でも、俺は莉央の妹よりも莉央と一緒にいる。 弁当だって莉央の母さんに無理言って、莉央にいつも持たせてもらうようにしている。 莉央が好きだから…… ……そういえば、莉央で思い出した。 さっきのは本気で惜しかったな。 俺はガシガシと後頭部を掻くと、先程のことを思い出していた。 莉央があんなにもイライラしている原因を――――。
/480ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1009人が本棚に入れています
本棚に追加