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右頬がジンジンとする。
「ってぇー……」
俺は思わず、右頬に手を添えた。
微かに熱を帯びている。
……今、何が起きた?
莉央が“ふざけないで”って言って俺の頬を叩いた?
熱を帯びる程強く?
――莉央なのに?
――それほどまでに、莉央を怒らせたのは俺?
――俺は何を言った?
俺は頬のあまりの痛さに、若干パニックを起こした。
……落ち着け、俺。
俺は深呼吸を一つし、莉央を見た。
莉央は顔を真っ赤にしながら、背中を丸めてフーフー言っている。
「私が……私がどんな気持ちでいてたのか知らないくせに!
それを“迫られて嬉しかった”ですって?
ふざけるのもいい加減にしなさいよ!
もうあんたなんか知らない!
合コンにだって行くわ!」
キッと俺を睨んで、莉央は俺の横を通りすぎていく。
「おい、り――」
「下に行ってるから!
じゃあね、チビッ!!」
バタン、と荒々しく莉央は扉を閉め、部屋を出ていった。
……何、やらかしてんだ、俺。
自分の意思ではないにしろ、莉央を傷付けて。
自分も傷付けて……
「ハハッ……、莉央の奴合コンに行くんだってよ……
……くそっ…………
笑えねぇ、笑えねぇよ……」
俺は力なくその場に座り込んだ。
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