私とチビ

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ニヤニヤとしながら、私の顔を覗きこんでくるチビ。 中二とは思えないほどの艶やかさを纏わせている。 その顔に私の頬は反射的に紅潮してしまった。 「……っいつから私の役目になったなのよ! ふざけるのも――」 キーンコーンカーンコーン…… 私の発言を遮って、チャイムが鳴った。 なんてタイミングの悪い…… 私は心の中でタイミングの悪さに毒付いた。 ―――――それにしても。 またチビ扶仁にトキめいちゃったなぁ…… 私は別に年下趣味じゃない! どちらかと言えば、年上の方が好みなのに! チビのバカ! もうこれ以上、チビに振り回されるのはごめんだ! 「…………授業、行きなさいよ」 私はふて腐れながらも、チビにそう告げた。 チビは無言で私を睨んでくる。 「な、何よ?」 チビの鋭い睨みに私は少し怖じけながらも、手元にあるお弁当箱を片付ける。 「別に?」 そう告げながらも、一向に動こうとしないチビ。その間にも着々と片付けを済ましていく。 ……こいつ、またサボる気ね? 私は溜め息をつくと、片付け終えたお弁当箱を持ち、立ち上がった。 あ…いい忘れていたけど、ここは屋上。うちの学校は基本的に屋上は開放されている。 それと私たちが何故一緒に食べているのかというと、扶仁の分のお弁当をママが作るから。 扶仁ママは、もう何年も前に亡くなってしまった。 だから、ママが多少強引に扶仁の弁当を作ることになった。 まぁ、いろいろあったのよ……  
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