はちみつレモン

私とチビ

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――

窓から入ってくる暖かい日差しに私は頭をぼやつかせていた。

数学の先生が黒板の前で何やら文字が無駄に羅列した式を必死に解説をしているのを、何も考えずに見る。

……いや、訂正。
お昼休みのことばかりを考えながら黒板を見る。

黒板に書かれている文字式が一段と難しく見える。

――――――あれはどういう意味なの？
扶仁、私はあんたがちっとも分からないよ。

何度も何度も、あの時の扶仁の声が頭のなかで木霊する。

あの後は勢いで逃げてしまった。

何もなかったように、全部忘れるように全力で教室に戻ってきたのに、それは意味なくて。

忘れるどころか、こんな風に考え込んでしまっている自分がいる。

「……わかんないよ」

意味もなく、ポツリと呟いた言葉は何に対する分からないなのか、私自身分からなかった。

あの文字式？
それとも扶仁？

どちらかなんて言われたら、扶仁なのだろうと思うけれど、私はその答えに行き着きたくなかった。

……なんとなくだけど、今までの日常が壊れていくような気がした。