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女性はその瞬間には恐怖を忘れてたいた。
自分をまっすぐに見つめる王の青い瞳はまるで愛しい者を見つめてる様に優しく細められる。
吸血鬼に狙われた女性は逃げることも叶わず首筋に牙をたてられ、血を奪われ死にいたる。
女性達は逃げれずに餌食になるのでは無く逃げる事を忘れてしまうのだ。
王の優しい瞳に。
「今宵、貴女の様な美しい女性に会えた事を感謝しよう。」
逃げる意思を失った女性の柔らかな髪に指を絡めゆっくりと吸血鬼は女性の首筋に顔を寄せ、一度優しいキスを落とす。
女性は何をするでもなく、男の腕に身をあずける。
「今宵出会えた貴女の名前を、この無粋な私にお教え下さい、美しい人」
甘く優しい声。
耳元で囁かれた言葉に女性はゆっくりと口を開く。
「…ミク」
熱っぽい、小さな声が王の耳に届いた。
愛し気にミクと名乗る女性の髪を撫でもう一度首筋に優しいキスを落とす。
「ミク、今宵会えて良かった、私と一つになろう」
王の言葉にミクは一度小さく頷き目をつむる。
王は凶悪な笑みを浮かべミクの白く柔らかな首に鋭い牙をたてた。
白く美しい首筋に流れる紅。
女性は一瞬の痛みに体をこわばらせ、次には王にすがりつくよう腕を背へと回した。
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