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王は使用人が消えた廊下の先を見つめ、凶悪な笑みを浮かべ、ゆっくりと歩き出す。
大きな城の暗く冷たい廊下に一人王の足音だけがやけに大きく響く。
歩みを止めたのはやけに重厚な作りの扉の前。
王は冷ややかな眼で扉を一見するとゆっくりと開く。
「ズゥン」と、鈍い音をたてながら開かれた扉の中に見えた部屋は、拷問器具がならぶ血生臭い部屋。
その部屋の片隅にある壁の鎖に繋れた甲冑を着た男を見付けると王は冷ややかな眼で男を見る。
「おもてなしは気に入って頂けましたかな騎士様」
意識を失いつつあった騎士の顔がゆっくりと上がり王を睨み付ける。
「化物め…」
皮肉にも王は不敵な笑みを浮かべ騎士を見下す。
「私が化物か、人間は己よりも遥かに強い者を恐れ呼ぶ時はその様な言葉を使うな?」
騎士の眼は強い怒りをたたえ王を睨みつける。
「騎士に恐る者など無い!」
王はゆっくりと騎士へ近づき腹に深く突き刺された槍を更に押し込む。
「ぐぅっ…」
騎士の反応に王は眼を細め残酷な笑みを向ける。
「死を前に恐れが無いとまだ言いきれるか?」
騎士は込み上げて来た血を吐き出し王に変わらぬ眼を向ける。
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