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ボクの心は寂しいと叫んでいたんだ。
だけど、その人は何も言わなかった。
ただボクの横に座り、黙ってそばにいた。
ただ黙って。
会話なんてなかったんだ。
それでも、ボクは救われた。
それだから、ボクは救われた。
いつしかボクはその人のことばかり考えるようになった。
今日はいつ来てくれるのかな。
またそばにいてくれるのかな。
そんな風に想っていた時、ふと気付いてしまった。
ボクには何もない。
何も持ってない。
人を拒絶して、周りを拒絶して、世界を拒絶して。
ボクは何も持ってなかったんだ。
そんなボクに何故会いに来てくれる?
そんなボクに何故そばにいてくれる?
気付いてから、以前のようにはいられなかった。
いつも不安が付きまとう。
不安と疑問が入り混じり、いてもたってもいられなくなった。
こんな気持ちになるくらいならいっそ………。
でもこの人だけは失いたくなかったんだ。
だから、ボクは聞いた。
聞いてしまった。
何故ボクのそばにいてくれるの?
ボクは何も持ってないのに。
すると彼女はただにっこり微笑んで、
「やっと、話しかけてくれたね」
そう言ったんだ。
その笑顔が眩しすぎて、それ以上見れなかった。
ほんとはずっと見ていたかったのに。
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