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「え？あ……芽高、くん…？」
「当たり！覚えててくれたんだ」
「うん。芽高くん目立つから」
そう言って柔らかく笑う幸は、からかいの意味も媚びもなくてただ純粋にそう思ったんだと分かる。
悠左といい幸といい、成宮家は安っぽい人間ではないらしい。
「そんなに目立ってるつもりないんだけど」
「そうなの？いっつもクラスの中心で、私そういうことできないからすごいなって思うよ」
「え……」
１７年間生きてきてそんなことを言われたのは初めてで、思わず詰まってしまった。
幸というこの女の子は、どうして臆面もなくこんなことが言えるのだろう。
瞳はひたすら純粋に尚杞を見つめていて、柄にもなく動揺してしまう。
そんな尚杞を見て、悠左がいらついたように幸に言葉をかけた。
「そんなことより、早く課題を出さなくていいのか？」
「あ、そうだった」
かわいらしく手をぽんと合わせて、幸は教室に戻って行った。
悠左に「ありがとね！」と笑顔を残すのを忘れずに。
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