今思えば"運命の出会い"

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今まで、人の顔でどうこう思ったことなんてなかったのに。 (やっべ、超好み……いや、男だけど……男なんだなぁ) 女だったら一も二もなくスタートかけんのに、と思いながらも、やっぱり凝視してしまう。 「どうかした?」 「…え?」 「ぼーっとしてるみたいだけど。そんなに驚かせちゃったかな?ごめんね」 「あ、いや!平気平気」 そう?と優しく微笑む男。 (あー、ほんとやばい。この際、男とか関係ない…か?) 気持ちが傾くのを感じつつ、それを悟られないようにいつものように話し掛けた。 「困り事?先生じゃないよね。お客さん?」 「まあ、来客者という扱いではあるね。 二年四組の教室を探しているんだが、見つからないんだ。迷惑でなければ、場所を教えて貰えるかな?」 こんな風に、ナチュラルに話し掛けられたのは久しぶりだった。 外見を見て怖がるか、見下すかする人間ばかりだったから。 そんな面倒な思いをするくらいなら、馬鹿な奴らと馬鹿な付き合いしてる方が何倍もいい。 そうして、見た目しか見ない奴らを自分が侮蔑していた。
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