29人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
今まで、人の顔でどうこう思ったことなんてなかったのに。
(やっべ、超好み……いや、男だけど……男なんだなぁ)
女だったら一も二もなくスタートかけんのに、と思いながらも、やっぱり凝視してしまう。
「どうかした?」
「…え?」
「ぼーっとしてるみたいだけど。そんなに驚かせちゃったかな?ごめんね」
「あ、いや!平気平気」
そう?と優しく微笑む男。
(あー、ほんとやばい。この際、男とか関係ない…か?)
気持ちが傾くのを感じつつ、それを悟られないようにいつものように話し掛けた。
「困り事?先生じゃないよね。お客さん?」
「まあ、来客者という扱いではあるね。
二年四組の教室を探しているんだが、見つからないんだ。迷惑でなければ、場所を教えて貰えるかな?」
こんな風に、ナチュラルに話し掛けられたのは久しぶりだった。
外見を見て怖がるか、見下すかする人間ばかりだったから。
そんな面倒な思いをするくらいなら、馬鹿な奴らと馬鹿な付き合いしてる方が何倍もいい。
そうして、見た目しか見ない奴らを自分が侮蔑していた。
最初のコメントを投稿しよう!