今思えば"運命の出会い"

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なのに、この男は何か違う。 会ったばかりのその男が、気になって仕方なかった。 (つか……二年四組っつったか?こいつ) はっと思い出す。 こんな偶然もあるものなんだ。 「俺のクラスだよ、それ」 にやけるのを抑えるのに一苦労だ。 「そうなのか」 「何の用なの?」 「妹に頼まれてね。課題を届けに来たんだ」 「妹?」 この男の妹……。 必死に記憶を辿るが、それらしい人物が思い浮かばない。 それはもう、見事に。 もともと他人の顔を覚えようとしない尚杞だから、当たり前と言えば当たり前なのだが。 きっといつまで考えても分からないなと悟って、尚杞は男に誘いの言葉を投げ掛けた。 「俺荷物取りに戻んなきゃだから、一緒に行く?」 「ああ、それは助かる。頼めるかな?」 「おっけー」 久々に気分を高揚させて、後ろから付いてくる足音を感じながら尚杞は自らの教室に歩き出した。
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