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(つか、なんでこんな控えめになってんだ?俺)
自分らしくないと思った。
名前なんて普通に聞けばいい。
知り合ったのだから、その行為に不自然さなんてない…と思う。
尚杞は妹のことを話そうとする彼に先より幾分真剣な表情で向き直った。
「あんたは?」
「え?」
「あんたの名前は?なんてーの?」
一瞬尚杞の雰囲気に圧されたようだったが、すぐにもとの彼に戻ってさらりと答えた。
「悠左(ゆさ)だよ。成宮悠左」
「悠左……」
(…あー、重傷かも)
名前を知れただけでこんなに嬉しい。
どうかしてる。
こんなのは自分じゃないのに
それを楽しんでる自分がいる。
もっと知りたい。
もっと近付きたい。
そんな欲求に従うように、尚杞は悠左の腕を掴んでいた。
「……?」
怯えたような、でも勝ち気な瞳。
抱き寄せたい衝動を必死で抑えて、その瞳を見つめた。
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