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聞こえて来るのは波の音、エンジン音、そして爆発音だけだった。
「上陸5分前!!」
上陸挺を操縦している操縦士が叫んだ。あと5分…私はツバを飲み、水筒の水を飲んで自分を落ち着かせた。
「上陸1分前!!」
この4分間私は3回も吐いた。気分は最悪だったしもう帰りたいと心の中で叫んだ。
「上陸30秒前です、頑張ってください」
あの時の事はよく覚えてる、皆銃を構え戦う準備が出来ていた。
「ハッチ開きます!!」
ガラガラガラガラッその音と共に。
シュンシュンシュンピュンカンカンバーン
前の列から倒れていき、進む事が出来ず上陸挺に閉じ込められた。
「何やってる、前に進め」
「無理です、進めません」
「ふざけるな、皆死ぬぞ」
「駄目です進めま…グァップ」
「おい、大丈夫か……飛び込め、皆、飛び込め!!」
高さ190ある壁を登り海に飛び込んだ。
海に飛び込んだのは良いが体が沈む、装備が重た過ぎた。
だが、普通に脚が届く深さで助かった。いや、助かっていない。
浜に上がると地獄絵図だった。
あちらこちらで兵が倒れて、助けを求めてる。
私は呆然となり、体が動かなかった。
「 」
「…」
「 」
「…」
「ぉぃ」
「…」
「衛生兵前え!!」
「は…はい!」
呆然だった私はその声に気づかなかった。
「何やってる、早くしてくれ」
負傷した兵は喉を撃たれていた、その喉を押さえながら軍曹が助けを求めてる。
「今手当てします」
低い体制で私は走った、弾が頭をかすめ耳元でピュンと音がしている中で私は走った。
負傷した兵の所に着くと軍曹はこう言った。
「俺は他にやることがある、1人で大丈夫か?」
「大丈夫です」
その返事を聞くと軍曹は走って後方に下がり無線手に「第一斑上陸成功と伝えろ」
仲間が来るまで死守しなければならなかった。
私は負傷兵の手当てをして後方に運び、すぐ次の負傷兵を探した。
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