第7章 「衛生兵前へ!!」

3/4
前へ
/19ページ
次へ
聞こえて来るのは波の音、エンジン音、そして爆発音だけだった。 「上陸5分前!!」 上陸挺を操縦している操縦士が叫んだ。あと5分…私はツバを飲み、水筒の水を飲んで自分を落ち着かせた。 「上陸1分前!!」 この4分間私は3回も吐いた。気分は最悪だったしもう帰りたいと心の中で叫んだ。 「上陸30秒前です、頑張ってください」 あの時の事はよく覚えてる、皆銃を構え戦う準備が出来ていた。 「ハッチ開きます!!」 ガラガラガラガラッその音と共に。 シュンシュンシュンピュンカンカンバーン 前の列から倒れていき、進む事が出来ず上陸挺に閉じ込められた。 「何やってる、前に進め」 「無理です、進めません」 「ふざけるな、皆死ぬぞ」 「駄目です進めま…グァップ」 「おい、大丈夫か……飛び込め、皆、飛び込め!!」 高さ190ある壁を登り海に飛び込んだ。 海に飛び込んだのは良いが体が沈む、装備が重た過ぎた。 だが、普通に脚が届く深さで助かった。いや、助かっていない。 浜に上がると地獄絵図だった。 あちらこちらで兵が倒れて、助けを求めてる。 私は呆然となり、体が動かなかった。 「 」 「…」 「 」 「…」 「ぉぃ」 「…」 「衛生兵前え!!」 「は…はい!」 呆然だった私はその声に気づかなかった。 「何やってる、早くしてくれ」 負傷した兵は喉を撃たれていた、その喉を押さえながら軍曹が助けを求めてる。 「今手当てします」 低い体制で私は走った、弾が頭をかすめ耳元でピュンと音がしている中で私は走った。 負傷した兵の所に着くと軍曹はこう言った。 「俺は他にやることがある、1人で大丈夫か?」 「大丈夫です」 その返事を聞くと軍曹は走って後方に下がり無線手に「第一斑上陸成功と伝えろ」 仲間が来るまで死守しなければならなかった。 私は負傷兵の手当てをして後方に運び、すぐ次の負傷兵を探した。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加