第一章 オワリノハジマリ

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佐竹の言い分も、充分に理解の出来るものだった。 実際、黒川は影の総理と呼ばれていて、日本社会の裏の支配者と言ってもよい存在だった。 もし、黒川と修羅の関係を無理に記事にすれば、脅しは現実のものとなるであろう。 (確かに彼らは法を犯すようなことはしていない。 だが、あの反社会的な危険思想を持った団体を、絶対に放っておくべきじゃない! 国民に真実を伝え、社会全体で彼らの活動を監視すべきだ。 だが、もし記事にすれば、俺もタダではすまないだろう……。 俺はどうすれば……。) 自身の睡眠時間を削ってでも、杉崎を懸命に突き動かしていたもの、それは金や名誉の為などでは決してなく、ジャーナリストとしての正義感、純粋にただそれだけであった。
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