第九章 夢の終わりに

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4月11日、ついに幕府軍12万による総攻撃がおこなわれた。 一揆軍との凄まじい激戦が各所で繰り広げられた。 一揆軍は懸命に戦ったが、ろくに食べ物を食べていないことで力が出るはずもなく、次々と幕府軍の前に倒れていった。 そこかしこに一揆軍の死体が積まれていく。 幕府軍は、松平の指示どおり、女、子供に至るまで、全てをなで斬りにしていった。 この世に地獄というものが存在するのならば、まさにその光景こそが地獄であった。 女、子供に至っては、闘おうとせず、自ら喜んで刀で斬られて死のうとした。 来世では、必ず幸せになれるというキリスト教の教えから、彼らには死というものに対しての恐怖がなかった。 幕府の武士達は、死を恐れず、むしろ喜んで斬られようとする行為に、凄まじい恐怖を覚え、ことごとく切り捨てていった。 こうして、大手門、二の丸、三の丸、出丸、搦手(からめて)が次々と陥落。 生き残りの男女は、四郎の立て籠る本丸に集まった。
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